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ネコ 6歳 ♂
【 あちこちにオシッコをして、オシッコに血が混ざっている 】とのことで来院されたネコちゃんです。
■ 頻尿で、トイレと寝床を行ったり来たりしているけれど、排尿の姿勢をとってもほとんどオシッコが出ないとのことでした。
■ 身体を触らせて頂くと、膀胱には尿がほとんど溜まっておらず、下腹部に痛みがあるようでした。 膀胱を触ったときに尿が漏れ出てきたので尿検査をしたところ、赤血球と炎症細胞が多量に確認されました。 同時に細菌感染がないか確認しましたが、どうやら細菌の感染は認められないようです。
■ レントゲン検査や超音波検査で膀胱内部の状態も併せて確認しましたが、膀胱結石等は特に見当たらなかったです。
■ 検査結果から、このネコちゃんは膀胱炎になっていると判断されました。 しかも、細菌や結石、腫瘍等の膀胱炎の原因になっているモノが特に見当たらなかったため【特発性膀胱炎】の可能性が高いと考えられました。
■ この、【特発性】という言葉は、【原因不明】という意味を持ちます。 今回のように膀胱炎の様な症状が見られながら、その原因がはっきり見当たらない際に用いられる言葉です。
■ 原因不明ということではありますが、この病気は生活環境やストレスが関与している事が良くあると言われています。 そこで、飼主様に改めて状況をお伺いしたところ、症状が出る数日前からトイレ砂とトイレを新しくしたとの事でした。
■ 猫ちゃんにとって【トイレ環境】というのは極めて重要で、トイレ環境の変更が膀胱炎の原因になったのではと考えました。
■ そこで、治療としてトイレ環境の改善に取り組むことになりました。
まずトイレの個数は【猫ちゃんの数+1個】用意していただき、トイレは屋根なしのタイプを用意していただきました。 屋根があり狭い空間だと、オシッコをしにくいネコちゃんがいるからです。 変更したトイレ砂も、以前と同じものに戻してもらいました。
■ また、食事も特発性膀胱炎用のウェットの療法食に切り替えました。 これは、水分摂取量を増やすとともに、食事に含まれる【ミルクプロテインとトリプトファン】という物質が猫ちゃんのストレスを軽減してくれる効果が期待できるからです。
■ そうしたところ、数日で症状の改善が見られました。
■ あるデータによると【下部尿路疾患(尿路閉塞や膀胱炎の総称です)を生じた猫ちゃんの54%で特発性膀胱炎の病歴がある】と言われているそうです。
■ トイレ環境の変化以外にも、【引っ越し】【新しい猫ちゃんがお家に来た】【家族構成に変化があった】【飲水環境に変化があった】等、ストレスになりそうなことは何でも原因になることがあります。
■ 頻尿や血尿が見られた際は、ぜひ一度動物病院にご相談ください。
獣医師 齋藤隆太